ひそひそ荘のながめ

 共同執筆ブログ「ひそひそ荘」の記事から紹介する。

◯ 「ないしょ(投稿者:雪原さん/@dawning0.bsky.social

ひそひそ荘というブログ名からの連想で「内緒話」のイメージや語源の話。

「「内緒」は自分の内側にあって、「秘密」は自分の外側にあると言えそうだ。」

一つの言葉を、自分という殻の内側・外側に配することでその意味を探っていくのは面白いと思う。言葉の意味は時と場合で変わる。言葉が置かれた場所を図に描くことができたら、新たな発見があるかもしれない。それをつなぎ合わせれば言葉の地図が書けるかもしれない。

後半は質疑応答形式で自分のことを語っている。
質問を立てることで、自分を表現することが整理される。読み手もそれぞれの問いに自分を出力するだろうし、書き手と読み手の差異も具体的に浮かびあがってくる。意外だったり共感したりできる。

雪原さんの次の記事は「布団を敷く」。ひそひそ荘に入居したので、家具や寝具を配置していこうという趣旨らしい。洒落ている。

「こんにちは」(投稿者:ハザマさん/@hazama.bsky.social

「こんにちは」というもっとも普通の挨拶と、接客業の経験を結びつけている。
ほとんどのお客は「すみません」でやってくる。まれにいる「こんにちは」に対して店員はどう返すのか。お店や立地によっても異なるだろう。ハザマさんはどう返事しているのか、どうしてみたいのか、が記事に書かれている。

挨拶は気恥ずかしい。だから向き合ってちゃんと挨拶するときは笑顔になりやすい。両手で包みこむような挨拶もある。反対に、投げるような挨拶もある。適当に放り投げるから受け取ってくれ、みたいな。笑ってはいけない挨拶の場面もある。声の大きさも変わる。
ただこれだけは言えると思う、挨拶はしないよりした方が、きっといい。

「挨拶は、準備でもあるよね。」

そうなんだね。相撲の仕切りというか、とにかく「こんにちは」から始まる何かがある。会話じゃなくても、挨拶のあとの余韻の中で、考えたり思ったりすることもある。
あとに続くから「こんにち…」、一つの区切りとしてなら「こんにち。」だろうか。いずれにしても、

「遠ざけるのも近づくのも自分だな。」

この一文を読んでハッとした。名言だと思う。

「はじめまして」(投稿者:もてこさん/@ricek9s.bsky.social

この記事には、素直な戸惑いがある。

「他人に聞こえないように話す。なんだか矛盾を感じる。」

「ひそひそ」に向き合おうという真摯さもある。一方で「矛盾」という言葉に私の心がざわめく。でも、

「おもしろそうと直感する自分を無下にはできない。」

私はこっそり微笑んだ。好奇心こそは人間にとって最大の…。

ひそひそ荘は共同執筆のブログで、記事のテーマに制約はない。住人の記事がふえていくことで雰囲気が育まれていくという淡い期待を抱いているものの、どうなるかわからない。
玄関に立てば住人のひそひそ声が聞こえてくる。まだアパートはできたばかりの匂いがしてる。