楽しい漢和辞典選び
言葉に興味があるのなら漢和辞典。発想が広がり、創作につながるかもしれない。 ○なぜ漢和辞典か 国語辞典はあいうえお順。音による配列なので、散漫な印象。 一方、漢和辞典は同じ漢字を使った熟語が並ぶ。それぞれの意味が近く、類語的。数珠つなぎ、連鎖がある。 ○漢和辞典は二種類ある A.漢文や中国語としての解説がメイン(本来の漢和辞典) B.日本語としての解説がメイン(近年出てきた漢和辞典) 私は創作の友としての使用を想定しているので、Bの辞典をさがせば良い。 学習や、漢字本来の使われ方を押さえたい人は、Aをえらぶと良いと思う。 B. 日本語重視の辞典 * 印 :所有している(していた)辞書 ・新潮『日本語漢字辞典』 新潮の強みを活かし文学からの参照例も多く、読み応えあり。サイズ大きめ、高額。 ・三省堂『新明解現代漢和辞典』 訓読みに強く、中古/中世/近世別に記載。漢語と日本語の区別が明確。日常語にも目配りがある。 ・岩波『新漢語辞典』* 字間行間広く、ゆったりした景色。見出し数や熟語数は少なめだが、使える逆熟語を多く掲載。熟語の使用例も多く、国語辞典のような丁寧な説明文が最大の特色。 A. 漢文重視の辞典 ・小学館『新選漢和辞典』* 文字は小さいが字間があるため読みやすい。説明も親しみやすく、同義の熟語もまめに挙げている。見出しが充実、欄外にある部首と画数から引くことができる。中国の昔の物品や官位名よりも、一般的な語を優先。逆熟語の記載あり。 ・大修館書店『新漢語林』* 文字は大きめだがぎっしり。コラムや難読字の列挙など学習向け。逆熟語の記載あり。 ・角川『新字源』* 正統派で、一時代を築いた。そつなく広範にわたってフォロー。25年ぶりの新版でデザイン面を刷新した。逆熟語の記載あり。 ・三省堂『漢辞海』* ゴリゴリの漢和辞典。漢文にすべて和訳をつけている。訓読みや国字に弱い。 ・三省堂『五十音引き漢和辞典 第2版』 レビューによれば類語辞典的にも使えて、見晴らしが良さそうな辞書。 ○「梅」を調べてみた(『新漢語辞典』『新選漢和辞典』『新漢語林』) ○訓読みについて 音読みより厄介。さまざまな読み方があり、なおかつ時代ごとに変化するためキリがない。何を採用するのか、編者のセンスによる部分も大きいのではないか。 ○見出し語は多い方が良い? 収録語数が多いのは、漢文...